中学受験において「大手集団塾」と「個別指導塾」どちらに入塾するべきなのか迷っている方へ向けた記事になっています。
- 中学受験はとりあえず、大手集団塾に入れば大丈夫でしょ?
- 子どもには、個別指導の方が向いている気がするけど、個別指導で受験に受かるのか心配
- 集団と個別、どちらが良いのか分からない
上記の様な方はこの記事を読むことで、「大手集団塾」と「個別指導塾」どちらに入塾するべきか分かるようになるはずです。
*合わせて、「塾選び」で気をつけるポイントもご確認ください。
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内容は以下の通りです。
- 集団塾のメリットとデメリット
- 個別指導塾のメリットとデメリット
- まとめ
捕捉:記事の信頼性
簡単な自己紹介です。
大学時代から教育や塾業界と関わり、中学、高校の教員免許を持っています。
現在は中学受験の塾で働いていて、講師歴は6年目になります。
多くの生徒や保護者の方と関わってきた経験に基づいて記事を書こうと思います。
1.集団塾のメリットとデメリット
ますは、大手集団塾のメリットとデメリットです。
ここでは、大手集団塾として
・SAPIX
・日能研
・早稲アカ
・四谷大塚
を基本的に念頭に置いていますが、多くの集団塾に当てはまる内容となっています。
メリット
- 合格実績が豊富
- カリキュラムが安定している
- ハイレベルな競争がある
合格実績が豊富
何と言っても、大手集団塾の最も優れている点はその合格実績だと思います。
その規模はた塾を圧倒するほどです。
その合格実績は授業や講師の質の高さを表していると思いますし、何より保護者や生徒の安心感に繋がると思います。
生徒は意外にも自分の通っている塾の合格実績を気にしています。
子どもが「この塾を信じて勉強すれば、自分の成績は伸びるんだ!」と信じられる事は大切なことです。
やはり、それだけの実績のある塾の講師が言っていることには説得力がありますよね。
その説得力が生徒の成績を伸ばし、さらに合格実績を積み重ねるという好循環が、大手集団塾の最大の強みです。
カリキュラムが安定している
次の強みは、カリキュラムです。
このカリキュラムも合格実績を支えている柱の1つです。
大手塾には、それぞれ特徴があります。
SAPIX→御三家などの難関校
早稲アカ→早慶
日能研→中堅校
など、大手塾と一口言ってもそれぞれの強みやカラーがあるのです。
しかし、共通して言えることは”それぞれの学校に入るための勉強量などのカリキュラムが整っている”ということです。
これらの塾が提供してるカリキュラムに沿って学習を進めることが出来れば、志望校合格レベルの学力は保証されていると言っても過言ではないでしょう。
*この点はメリットでもありますが、デメリットにもなります。その理由が後述します。
ハイレベルな競争がある
大手進学塾を卒業した方が口を揃えているのが、競争の激しい環境だったということです。
基本的にテストの成績でクラスや席順まで決まり、志望校別講座ではより高い競争と緊張感の中で授業が行われています。
この競争は生徒の学習意欲を高める一つの要因になります。
その為、塾でも切磋琢磨しながら勉強をするための工夫がされています。
ただ、注意が必要なのは子どものメンタル面です。
競争が激しいということは、それだけ子どもにストレスがかかるということです。
適度なストレスは成長のために必要ではありますが、過度なストレスで精神的にバランスを崩してしまう子どももいます。
家庭での注意深いケアが必要です。
デメリット
- カリキュラムに乗れないと成果が出ない
- 家庭学習の負担が大きい
- 教材や解法が固定的
カリキュラムに乗れないと成果が出ない
これは先程のカリキュラムの充実と表裏一体の関係にあります。
カリキュラムが充実している分、それから外れる子どもを指導する方法がないのです。
カリキュラムに乗れる生徒は、合格への最短距離を歩む一方で、そこから少しでも外れてしまうと、取り戻す事は容易ではなく
最終的には自信を失い、最悪の受験を迎えてしまうケースも少なくありません。
程度の差はありますが、大手集団塾にはこの心配があります。
特にSAPIXでは、クラスの上位2割に合わせた授業進度だと言われています。
この進度について行くことが目的となってしまい、結果効率の悪い学習スタイルになるケースもあります。
また、塾の遅れを家庭学習で何とか取り返している家庭も多く、次に述べるデメリットへと繋がっていきます。
家庭学習の負担が大きい
上述したように、一度塾の授業に取り残されると相当な家庭学習での労力が必要になります。
また、集団塾では課題のチェックが無かったり、逆に課題の量が多過ぎたりして、勉強効率が下がることがあります。
1人1人に課題を出すのではなく、授業の予習・復習を課題にする為です。
その結果、家庭の介入が必須となります。保護者の介入やサポートを前提とした学習サイクルが組まれている塾も多いため、入塾時に確認することが必要です。
小学生に自立した学習スタイルを求めることは酷ですが、子どもの家庭学習に多くの時間を割くことの出来ない家庭も多いと思います。
すると結果的に授業のカリキュラムから取り残され、成績が下がり続けるという悪循環になることも多いです。
この点でも、集団塾は慎重に選ぶ必要があります。
教材や解法が固定的
最後のデメリットが、これです。
中学受験の算数などには、実は多くの解法がある問題も多いです。
また、教材にも子どもとの相性があります。
それらを子どもの特徴や得意不得意に合わせて選択することが、もっとも効率の良い学習方法です。
それが、集団塾では出来ません。
基本的に、授業で扱った解法や考え方で問題に取り組み、同じ教材を使って勉強していきます。
スタンダードなやり方や教材が、その子にとってもベストとは限らない事を忘れてはいけません。
2.個別指導塾のメリットとデメリット
次に、個別指導塾のメリットとデメリットです。
読むと気がつくと思いますが、基本的に大手集団塾のメリットとデメリットの逆になっています。
*一部新しい部分もありますが、逆になっているだけの部分は簡単に説明しています。
メリット
- 個々に合わせた、教材や解法が選択できる
- カリキュラムの変更が可能
- 個人に合わせた進路指導が可能
個々に合わせた、教材や解法が選択できる
これは、集団塾のデメリットの逆であり、個別指導塾の最大の強みです。
というか、これが無ければ個別指導に通う意味は無いかもしれません。
その為には、「この生徒にはどんな教え方がベストなのか?」を模索し、実践してくれる。
そのようなレベルの高い講師がいる塾を選ぶ必要があります。
ただの個別指導という形態のみにこだわると、個別指導の効果が薄くなってしまいます。
カリキュラムの変更が可能
これも、集団塾のデメリットの逆を表している部分ですね。
カリキュラムの変更が可能だと、子どもの得意不得意に応じて学力を伸ばすことが可能です。
例えば、国語の苦手を算数でカバーする。
旅人算は基礎レベルまでしか解けないけど、図形の問題は応用問題まで完璧に解ける。
など、その子の特徴に合わせて指導することが可能です。
中学受験をあくまでも”合格”を最終ゴールとするならば、全ての分野を周りの生徒と同じレベルで出来る必要は無いはずです。
”同じペース”を強要してしまう、大手集団塾のカリキュラムでは伸び悩んでしまう生徒でも、個別指導塾だと驚くような成長を遂げる事は珍しくありません。
個人に合わせた進路指導が可能
これは、多くの人にとっては意外かもしれませんが、進路指導においては個別指導塾に軍配が上がると思っています。
もちろん、大手塾の方がデータ量としては多いです。
しかし、それはあくまでも数値化されただけの”データ”です。
偏差値や過去の実績のみで進路を決定する事は、非常に勿体無い事なのです。
例えば、成蹊中学校を例にします。
成蹊中学校は「中学受験の偏差値ランキング 」において、男子の偏差値が55、女子が61となっていて、大学までの一貫校として人気の高い学校です。
この学校の理科・社会の入試には特徴があります。
詳しくは割愛しますが、社会では地理がほぼ出題されず、国語のような記述問題がメインとなっています。
つまり、理科と社会が苦手で四科目の偏差値で見ると、このレベルに達しない生徒も、国語的な記述能力だ高ければ、十分合格可能なのです。
実際に、社会が壊滅的に苦手ながら算数と国語で点数を稼ぎ、記述力で合格を勝ち取った生徒も知っています。
このように、数値だけではなく、問題と生徒の相性を総合的に見て判断することが出来る点が、個別指導塾のメリットです。
デメリット
- 他の生徒との接点は少ない
- 1つのカリキュラムでの実績が少ない
- 講師との相性の差が大きい
他の生徒との接点は少ない
当たり前の話にはなりますが、個別指導塾では集団塾と比較して、生徒同士の交流は少ないです。
クラスの生徒から刺激をもらいながら、学習意欲を高めるという環境ではありません。
友達と塾に通うことで、モチベーションを保つタイプの子供にとっては、意欲の低下に繋がる事もあります。
1つのカリキュラムでの実績が少ない
カリキュラムがオーダーメイドという事は、その生徒に合わせる事が出来る一方で、そのカリキュラムの実績は物足りないと思います。
「このペースで大丈夫?」と保護者の方が不安になるケースも多いです。
信頼できる講師を見つけることで解決できますが、そうでないとカリキュラムへの不安は大きなデメリットとなります。
信頼できるプロ講師による個別指導塾をまとめた別記事を参照して下さい。
講師との相性の差が大きい
集団授業と異なり、個別授業では基本的に生徒1人に対して講師が1人です。
つまり、その講師と良い関係が築けない場合、勉強に対するモチベーション低下に直結してしまいます。
教え方だけでなく、人間性の相性が悪い場合にも、授業が成り立たなくなる事があるので注意が必要です。
対応策として、講師の変更は何度でも行える塾も多いです。
3.まとめ
記事のまとめです。
比較してみると、集団塾は生徒を選ぶことが分かります。
集団塾のカリキュラムに沿って、無理なく学習を進めて行けるのは一握りの生徒だけです。
(だから、入塾テストが用意されています)
僕の感覚だと、現在の半数以上の生徒は集団塾ではなく個別塾に転塾した方が無理なく大きな成果が出ます。
この事は大手集団塾の上位生徒のみを念頭に置いた授業スピードからも分かります。
僕が基本的に、多くのご家庭に個別指導塾をオススメする理由がこれです。
一方で、個別指導塾には当たり外れが大きいのも事実です。
個別指導塾では「どの講師に教わるか」という点が非常に重要になってきます。
この辺りは、別の記事でオススメの個別指導塾を紹介するのでぜひご覧ください。
塾選びには正解はなく、大手の安心感のみを頼りにする事は得策ではありません。
このサイトでは、そんな中学受験の助けとなる記事を用意しています。